ブーレンレップってどんなお薬？
［編集協力］
鈴木 一史 先生 東京慈恵会医科大学 腫瘍・血液内科 講師
舟木 俊成 先生 日本赤十字社医療センター 眼科 部長
ブーレンレップは、抗体に抗がん作用をもつ薬物をつなげた「抗体薬物複合体（こうたいやくぶつふくごうたい）（ADC：エーディーシー）」と呼ばれるタイプのお薬です。
ADC： Antibody Drug Conjugate（アンチボディ ドラッグ コンジュゲート）
抗体とは？1）
わたしたちの体の中で、細菌やウイルス、がん細胞などを異物として認識し、排除しようとするシステムのことを免疫系といい、その主役を担っているのが抗体です。
抗体は、異物を認識して結合する力をもっているため、この力を利用して、免疫系ではたらく細胞が異物を認識・攻撃しやすいように手助けしています。
ADCとは？
ADCは、抗体に抗がん作用をもつ薬物をつなげたお薬のことです。抗体のがん細胞に結合する力を利用して、攻撃したいがん細胞に直接抗がん作用をもつ薬物を届けることができます。
ADCであるブーレンレップの抗体には、骨髄腫細胞の表面にあるB細胞成熟抗原（BCMA：ビーシーエムエー）を認識し、結合する力が備わっています。
- BCMA： B-cell maturation antigen（ビーセル マチュレーション アンチゲン）
BCMAとは？2,3）
BCMAは、骨髄腫細胞の表面にあるタンパク質のことです。骨髄腫細胞の増殖や生存にかかわっており、多発性骨髄腫の患者さんの骨髄腫細胞の表面には、BCMAがたくさんあります。
そのため、多発性骨髄腫の治療では、BCMAをもつ骨髄腫細胞を死滅させることが重要です。
1）Cleveland Clinic. Antibodies, 2022（アクセス年月：2025年5月）https://my.clevelandclinic.org/health/body/22971-antibodies
2）Cho SF, et al. Front Immunol. 2018; 9: 1821.
3）Tai YT, et al. Blood. 2014; 123(20): 3128–3138.
